溶連菌と手足口病の違いって何?溶連菌は怖い病気って本当なの?
溶連菌感染症とは、子どもがかかる病気として知られていますが、実際は大人や妊婦もかかる病気です。
(逆に、3〜4歳よりも小さな子供はめったにかからないそうですが・・・)
さて、この溶連菌ですが、実際はどんな病気なのでしょう?
溶連菌と手足口病の違いなども調べてみました。
溶連菌と手足口病の違いって何?
溶連菌と手足口病は、現れる症状は割りと似かよっていますが、原因はまったく違うようです。
原因:
A郡β(ベータ)溶連菌と言われる連鎖球菌による感染症。
溶連菌による扁桃炎に発熱と発疹がプラスされたもの。
感染経路:飛沫感染
症状:
突然38度以上の高熱とともに、のどの激しい痛みを訴えることが特徴。
のどの痛みに加え、頭痛、嘔吐なども伴うことがある。
全身に鮮紅色の発疹が現れることもある。
皮膚がザラザラしてサンドペーパーのようになり、舌も真っ赤に炎症を起こしたりする。
治療方法:
抗生物質がよく効くと言われ、診断されると7日分の抗生物質が処方される。
原因:
コクサッキーウイルス16型、エンテロウイルス71型が引き起こす夏風邪の一種。
感染経路:飛沫感染
症状:
口の中、手足、おしりに小さくて水泡状の潰瘍ができる。
水疱瘡との違いは、胴体部分や有髪部分には水疱ができないこと。
口の中にできた潰瘍(口内炎)は痛みを伴うので、ひどい時には食事が食べれない。
水疱ができてから5〜7日ぐらいで治まってくる。
治療方法:特になし。
ということで・・・
溶連菌と手足口病の大きな違いは、
溶連菌は細菌による感染なのに対し、手足口病はウイルスによる感染であることです。
ちなみに、普通の風邪やインフルエンザもウイルス感染で発症します。
ウイルスと細菌は全くの別物です。
細菌にはヒトにはない細胞壁がありますが、ウイルスは核酸(DNAやRNA)をたんぱく質で包んだだけの構造です。
抗生物質はこの最近の持っている「ヒトにはない細胞壁」に作用して効果をあげるそうです。
そして、ウイルスには抗生物質は効果がないと言われています。
抗生物質を投与してもエイズは治らないしインフルエンザも治りません。
なぜなら抗生物質は細菌に効果があるのであって、ウイルスには全く効果がないからです。
ですから、溶連菌感染症と診断されると抗生物質が処方されますが、手足口病の場合は特に治療法がないので経過観察して下さいということになるのですね。
溶連菌は怖い病気?抗生剤を必ず飲まないといけないの?
さてさて・・・
溶連菌のことをネットでいろいろ調べると、
「溶連菌感染症を放置すると、腎炎やリウマチ熱などの原因になるので、しっかり完治させないと怖い病気である。」というような論調のサイトばかりを多くみかけます。
そんな中でひねくれ者の管理人は、「ほんとにそんなにおっかない病気なのかな?」という疑問を持ちました(^^;
大阪にあるにしむら小児科の先生が書いているサイトに溶連菌についての記述があるのを見つけたのですが、ココに書いてある溶連菌の説明が個人的にはしっくりきました。
いくつか引用して書き出してみると、
溶連菌は体の中に住んでいる。
特に喉の扁桃や咽頭のあたりにいる細菌で、溶連菌を持っている子どもはいくらでもいます。
溶連菌を持っていることは、体に悪いことではないのです。
恐らく日本中で、通常の溶連菌感染で亡くなる子どもさんは一人もいません。
では、溶連菌感染症として治療しなければいけないのはどのような場合か?
これは、何かをきっかけに、溶連菌が増えすぎて、体に有害な場合です。
強いのどの痛みがあって、のどの粘膜(赤いところ)に点々と赤いところがある場合は、溶連菌が増えすぎて、粘膜下出血というのを起こしている状態です。
また、溶連菌による扁桃炎や、頚部リンパ節炎、肺炎も治療すべきです。
ただ、風邪症状くらいの軽症の溶連菌感染症は、そもそも保菌者が検査で引っ掛かっているだけの可能性が高いし、真の溶連菌感染症であったとしても、ほとんど自然治癒します。
その他、溶連菌は皮膚の上にも住んでいることがあります。
傷の上で溶連菌が増えると、とびひを作ることがあります。
なるほど〜。
溶連菌自体は、普通に人の体に生息可能であり、本人が元気だったら悪さをするものではないみたいです。
多分、疲れたりして免疫力が落ちると溶連菌が増殖して感染症になったりするのでしょう。
また、風邪症状程度の溶連菌だったら、ほとんど自然治癒するとのこと。
ワタシは30代の頃、喉が痛くなると必ず高熱が出て寝込んでいましたが、もしかしたら溶連菌保菌者で、感染症を繰り返していたのかもしれませんね(^^;
あまりにもいつも同じパターンで寝込んでいたので、ただの風邪だと思ってましたが・・・
さてさて・・・
気になる合併症についても書かれてあります。抜粋して引用してみました。
溶連菌の合併症で有名なのは、腎炎とリウマチ熱です。
腎炎は、正確には溶連菌感染後糸球体腎炎と呼ばれるもので、溶連菌に対するアレルギー反応です。
この腎炎を起こした子どもさんの血液からは溶連菌に対する抗体がたくさん見つかりますので、溶連菌が原因のひとつであることは間違いありません。
しかし、実は溶連菌感染を発見し,治療したからと言って、この腎炎を防ぐことができるのか?は分かってないのです。
多くの子どもさんは,あまり症状が出ないままいつの間にかアレルギー反応が起こって腎炎を起こしてきます。
もっとも急性腎炎は確かに気をつけなくてはいけませんが、安静と食事療法だけで治る病気です。
心配要りません。
なお、リウマチ熱は日本ではほぼなくなってしまった病気なので、一般の人は気にする必要はありません。
わたしも過去にのべ20万人以上は診察していると思うのですが、軽いリウマチ熱と診断したのは一人のみです。
これを読むと、あまりにも神経質に怖がる必要はないんだなぁと思いますね(^^)
ちょっと気が楽になりました♪
参考にどうぞ♪ にしむら小児科のサイト ⇒溶連菌感染症について
最後に・・・・
・溶連菌と手足口病の違いは、溶連菌は細菌による感染なのに対し、手足口病はウイルスによる感染である。
・抗生物質は細菌に効果があるが、ウイルスには効果がない。
・溶連菌は体の中に住んでいる。特に喉の扁桃や咽頭のあたりにいる細菌で、溶連菌を持っている子ども(保菌者)はたくさんいる。
・溶連菌が増えすぎて、粘膜下出血というのを起こしている状態だと、強いのどの痛みがあって、のどの粘膜(赤いところ)に点々と赤いところができるし、溶連菌による扁桃炎や、頚部リンパ節炎、肺炎も治療すべきです。
・風邪症状くらいの軽症の溶連菌感染症は、ほとんど自然治癒できる。
・傷の上で溶連菌が増えると、とびひになる。
・溶連菌の合併症で有名なのは、腎炎とリウマチ熱ですが、急性腎炎は安静と食事療法で治る病気であり、現代の日本でリウマチ熱にかかる人はほとんどいないとのこと。
・一般的な見解とはちょっと違うかもしれないけど、こういう解釈をしている先生もいるということで、参考までに紹介してみました(^^;